【神足不動産の「借りるな!」日誌 vol.5】不動産屋だから知っている。「撤退」の時の惨めさと、身軽さの価値。
sora to umi akashi

神足不動産たけし社長
こんにちは。明石の港町にあるコワーキングスペース「ソラトウミ明石」代表、そして神足不動産の神足(こうたり)武志です。
このシリーズも今回で最後です。
これまで「固定費」「住所」「設備」「孤独」について話してきましたが、最後は一番シビアで、一番大切な話をします。
それは、「終わらせ方」についてです。
ビジネスを始める時、誰もが「成功」しかイメージしません。
「絶対にうまくいく」「すぐに軌道に乗る」
その情熱は素晴らしい。けれど、現実は残酷です。
思ったように売上が上がらないこともあれば、逆に想定外の急成長をして、今の場所が手狭になることもあります。
つまり、ビジネスには必ず「変化」が訪れます。
その時、もし君が賃貸オフィスの契約書にハンコを押してしまっていたら。
その契約書は、君の首を絞める「足枷(あしかせ)」へと豹変します。
1. 「辞めます」と言っても、半年間は家賃を払い続ける地獄
居住用のマンションなら、解約予告は「1ヶ月前」が一般的です。
「来月出ます」と言えば、翌月には家賃支払いが終わります。
しかし、事務所(事業用物件)は違います。
多くの契約で、解約予告は「3ヶ月前」から「6ヶ月前」に設定されています。
想像してみてください。
事業が立ち行かなくなり、「もう撤退しよう」と決断した時。
あるいは、資金が尽きて一刻も早くコストをカットしたい時。
大家さんに「辞めます」と伝えても、そこから半年間、安くはない家賃を払い続けなければならないのです。
もう使いもしない、売上も生まない部屋のために、なけなしの現金を半年間も垂れ流す。
これでトドメを刺されて倒産する会社を、僕は不動産屋として嫌というほど見てきました。
2. 敷金は戻ってこないと思え。「原状回復」の恐怖
さらに怖いのが、退去時の「原状回復義務」です。
「来た時と同じ状態に戻して返す」。言葉にすれば簡単ですが、オフィスの原状回復は甘くありません。
壁紙の張り替え、床のクリーニング、パーテーションの撤去、配線の処理……。
小さなワンルームでも数十万円、広い事務所なら百万円単位の請求が飛んできます。
入居時に預けた敷金(保証金)なんて、これであっという間に相殺されて消えてしまいます。
ビジネスに失敗して撤退する時、手元にはもうお金がないかもしれない。
なのに、さらに追い打ちをかけるように「現状回復費」を請求される。
これは、精神的に本当にキツイですよ。
3. 変化に強いのは「最強」ではなく「最軽量」だ
だからこそ、僕は口を酸っぱくして言うのです。
「最初はソラトウミにしておけ」と。
コワーキングスペースなら、契約期間の縛りは賃貸物件とは比べ物にならないほど緩やかです。
プランの変更も柔軟にできます。
* うまくいかなければ: 一番安いプランに下げて、再起を図ればいい。
* うまくいけば: プラン変更したり、スタッフを増やしたりすればいい。
* 卒業する時も: PC一台持って出ていくだけ。原状回復費なんてゼロです。
現代のビジネスにおいて、最強の武器は資金力でもブランド力でもありません。
「いつでも動ける身軽さ(アジリティ)」です。
状況に合わせて、コストを自在にコントロールできること。これが生存確率を劇的に高めます。
最後に:まずは「テスト」から始めよう
不動産屋の僕が言うのも変な話ですが、
いきなり重たい契約書にサインをして、自分を縛り付けるのはやめなさい。
まずはソラトウミ明石で、リスクを最小限にして「テストマーケティング」をしてください。
家賃にかかるはずだったお金を、商品開発や広告宣伝に使ってください。
そして、事業が盤石になり、「もう誰がなんと言おうと絶対に潰れない」という自信がついたら、その時こそ神足不動産に来てください。
君の会社の看板を掲げるのにふさわしい、最高のオフィスを探しますから。
それまでは、ここ(ソラトウミ)が君の基地です。
賢い経営者になりましょう。いつでも相談に乗りますよ。
Written by Koutari Takeshi
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